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いにしえの記憶第2章(その16) [いにしえの記憶]

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過ぎ去った日々に徐々に埋もれていく、遠い日のいにしえの記憶

いにしえに放映されたNHK大河ドラマの記憶、その第1弾です。

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私は物心ついた時からテレビドラマを観るのが好きでした。

家族の影響もあってか、私が子供の頃、幼稚園児や小学校低学年の生徒が決して観ないような、シリアスな外国テレビドラマが特に大好きでした。アニメや子供向けのテレビドラマは好きではなく、殆んど観た記憶がないです。

そんなわけで、子供の頃に観たテレビドラマの記憶は、ほとんどが外国テレビドラマ(大半は米国テレビドラマ)です。

私が子供の頃、外国テレビドラマ以外で観ていた数少ないドラマの1つがNHK大河ドラマです。家族が好きだったこともあり、日曜日の夜は家族揃ってNHK大河ドラマを観るのが当時の日常となっていて、まだ子供だった私も家族と一緒に観ていました。

私がNHK大河ドラマを観たのは、昭和39年放映「赤穂浪士」から昭和53年放映「黄金の日々」の間の15作品です。それ以降、大河ドラマを観なくなったのは、歳とともに遊び呆けて日曜の夜や土曜日の昼に家に居ることが稀になったこと、そして、NHK大河ドラマが持っていた格調が徐々に失われていったと感じられ、関心が薄れてしまったことです。

15作品のなかの大半の作品は私の記憶には残っていません。同時代に観た外国テレビドラマのシーンが今でも鮮やかに蘇ってくるのですが、1年間を通して観た大河ドラマでそのような作品が少ないのは意外でもあります。

しかし、鮮やかに記憶が蘇るNHK大河ドラマ作品がいくつかあります。記憶が蘇る作品に共通することは、主題曲を鮮明に憶えていることです。

但し、「花神」(昭和52年)のように主題曲を鮮明に憶えていても、ドラマの内容が全く思いだせないもの、「太閤記」(昭和40年)は逆に、本能寺の変の織田信長(高橋幸治さん)の自害のシーンなど鮮明に思いだせるのですが、主題曲の記憶が全くないものもあります。

NHK大河ドラマのなかで、最も主題曲が印象に残っているのは、昭和39年放映の「赤穂浪士」です。
芥川龍之介さんの三男である芥川也寸志さんが作曲の主題曲、文句なしの名曲です。この曲は、昭和30年に美空ひばりさんが主演した映画「たけくらべ」の主題曲の使い回しだったということが、今では知られています。
しかし、この主題曲を耳にすると、己を律して、主君の仇を討つという本懐を遂げるまでの、浪士たちの生き様が眼に浮かぶようです。パシッ、パシッと入るムチ(パーカッション)の音が、浪士たちが置かれた厳しすぎる現実と決意の固さを表現しているように思います。
この物語の主題曲として、この曲の他には考えられません、この曲があってこそのNHK大河ドラマ「赤穂浪士」だと思います。

当時、NHK大河ドラマの日曜日の夜の放送時間は今より遅く、小学二年生だった私は、日曜日の夜の本放送ではなく、土曜日のお昼の再放送を母と一緒に観るのが常でした。因みに、NHK大河ドラマが午後8時台の放送になったのは、翌、昭和40年放送の「太閤記」からです。

母親と土曜日の昼間の再放送を観たなかで、もっとも、鮮明に印象に残っているシーンは、名前を呼ばれて控えの間から切腹へと向かう白装束の大石内蔵助と控えの間に残る同志との別れのシーンです。このシーンを観て、涙もろかった母が大粒の涙をぼろぼろと流していたのが、今でも昨日のことのように思いだされます(母は日曜日の夜の本放送も観ていた筈ですが・・・)。おそらく、「赤穂浪士」最終回のシーンだと思います。

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残念ながら、NHKは当時高価だったビデオテープを使いまわしていたため、「赤穂浪士」はもう二度と見ることはできません(他の同時代のNHK大河ドラマも同様)。

しかし、唯一、第47話「討ち入り」の映像が残っていて、DVD化されているので購入して観てみました。

ビデオテープからフィルム化された映像なので、画質、音質は決して良くはないのですが、53年前に観た記憶が蘇り、懐かしさと感動で胸が詰まりました。。。

このDVDには、吉良邸討ち入りから、夜明けが目前になっても吉良上野介を見つけることのできない、大石内蔵助、浪士たちの焦りと困惑が、秀逸なカメラワークでBGM控え目にきわめて淡々と描かれています。今、このNHK大河ドラマ「赤穂浪士」をこの1話しか見ることができないのは、なんとも残念でなりません。。。

まだまだ日本のテレビ放送の黎明期だったとも言えるかもしれないこの時代、セット、殺陣、効果音など、今の水準から比べるととてもチープです。しかし、この作品の持つ格調の高さ、映像の深さには、今日のテレビドラマ作品は到底及ばないように思います。出演者も今日のテレビドラマでは信じられないような、超大物俳優、名優が名を連ねています。

白黒テレビのブラウン管の前に垂れ幕のような布が下がっていて、テレビの電源を入れていない時は、その布を降ろしてブラウン管を覆うのが当たり前だった時代。このようにテレビがまだまだ特別な存在だった時代だからこそ、渾身の作品が生み出され、半世紀以上たっても輝きを失うことはない、、、DVDを観終わってふとそんなことを思ったしだいです。


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