私を構成する9枚(パート1) [音楽]
①→③
④→⑥
⑦→⑨
私が今までの人生で聴いてきたアルバム全てから9枚を選ぼうとしたところ、9枚に入れる候補になったアルバムの大半がJazz/Fusionのアルバムとなり、他のジャンルの音楽で思い浮かんだのは、Progressive Rockから1枚、Classical Symphonyから1枚でした。それら2枚も今回選んだ9枚と入れ替える決定的な根拠が見つからなかったため、結局、9枚は全てJazz/Fusionからの選出となりました。
しかし、私の人生で聴いてきた音楽を少し視点を変えて眺めてみると、Rock/Pops、あるいはClassical Musicのジャンルの素晴らしいアルバムが思い浮かんできます。これらのアルバムについては、別途、紹介したいと思います。
今回はパート1として、①から③を紹介します。
①The Man With The Horn/Miles Davis(1981)
Milesから1枚を選ぶと、このアルバムになります。
私がJazzに興味を持つようになったのは1976年のことですが、この時期、Milesは活動を休止していました。
当時、私はPrestige、CBS時代のMilesの諸作を中心に聴き込んでいましたが、Milesの新作への期待は高まるばかりでした。1981年春にリリースされた未発表音源集「Directions」の内容が素晴らしかっただけに、余計に切望しました。
そして、1981年夏にリリースされた6年ぶりの新作「The Man With The Horn」。私が初めてこのアルバムを聴いたのは吉祥寺のJazz喫茶「Outback」でした。
初めて聴いた印象は、「The Man With The Horn」は活動休止直前の作品である「Agharta」、「Pangaea」の延長線上にある音楽ではなく、ある意味では期待を裏切られたものでした。
しかし、Marcus Miller、Al Fosterが生み出すうねるようなリズムをバックにした、Milesのリラックスした演奏は、とても印象的なものでした。若手のBill Evans(SS)、Mike Sternの才気あふれた鋭い演奏とMilesのリラックスした演奏は非常に対照的で、逆にMilesの演奏を際立たせている感覚があります。そこが「The Man With The Horn」が持つ、他のMilesのアルバムには代え難い魅力と思えたものです。それ以来、今日まで、ずーっと私の愛聴盤です。
この年の10月、「The Man With The Horn」のメンバーと一緒にMilesが待望の来日。新宿西口広場で開催されたコンサートに私は行きました。かぶりつきでステージを観ました。
Milesは体調がすぐれなかったようで、ちょっと脚を引き摺ってトランペットを吹きながら、とぼとぼとステージ上を歩く姿は、Milesの諸作でのパワフルさと大きなギャップのある、老人の姿そのものでした。それを眼にすると、ちょっぴり悲しくなりました。Bill Evans(SS)、Mike Sternの若さあふれるプレイが余計にMilesの老いを感じさせました。
その7年後、よみうりランドオープンシアターEASTで開催された「ライブ・アンダー・ザ・スカイ」で Miles Davis Groupの演奏を観ました。アルバム「You're Under Arrest」の曲を中心に演奏されたこのコンサートのMilesは新宿西口の時とは別人のように溌剌として、若々しく、パワフルでした。
このコンサートで演奏されたCyndi Lauperの名曲”Time After Time”の、Milesのミュートトランペットのしみじみと語りかけるような、美しい音色が、今でも思い出されます。
②Selflessness/John Coltrane(1969)
Coltraneから1枚選ぶと、このアルバムになります。
Coltraneが世を去って2年後にリリースされた未発表音源集のこのアルバム、もちろん聴きどころは、1963年のニューポートジャズ祭で演奏された"My Favorite Things"です。
Atlanticのアルバム「My Favorite Things」(1961)の"My Favorite Things”の、桜の花びらがそよ風に舞うような軽やかなColtraneのソプラノサックスも魅力的ですが、私にとって"My Favorite Things”は、「Selflessness」の演奏が至上のものです。
1965年のニューポートジャズ祭のElvin Jonesがドラムを叩いた正調(?)"My Favorite Things"も名高い演奏で素晴らしいですが、それと比べても、1963年のニューポートジャズ祭の演奏は、Roy Haynes の乾いたドラムとColtraneのソプラノサックスの絶妙なコントラストがスリリングで妙味のある緊張感(?)を生み出し、堪らなく魅力的です。
因みに、相当以前(おそらく四半世紀前)に4CDセットの「Live in Japan」を購入しました。無論、 "My Favorite Things"が聴きたいがために購入したのですが、今だに一度も聴いたことがありません。パンドラの箱を開ける、あるいは呪いのビデオを観るようで、怖すぎて聴くことができないのです。
しばらく寝込んでもいい時に、覚悟して聴いてはみたいのですが・・・。
③Explorations /Bill Evans(1961)
Bill Evansから1枚選ぶと、このアルバムになります。
私がJazzを聴き始めたころ、Bill Evansは存命でした。最初、Bill Evansのアルバムは、当時Warner Brosから出ていた新譜から聴き始めましたが、正直言って、特に感銘は受けなかったです。
徐々にRiverside、Verve、United Artists、CTIといったレーベルのアルバムを時代を遡って買い揃え、聴いていきました。
Verve時代の作品にもリリシズム溢れる素晴らしいアルバムが数多くありますが、やはりRiverside時代の4部作と言われる、Scott LaFaro (b), Paul Motian (d)とのトリオ作品の素晴らしさは格別なものがあります。
とりわけ、この「Explorations」、訳すると「探究」、まさに内面に深く語りかけるような、ピアノの一音一音を慎重に選ぶような演奏は非常に研ぎ澄まされたもので、生み出される緊張感は圧巻としか言いようが有りません。
"Nardis"の静寂の中に展開するScott LaFaro のベースとEvansのピアノの絶妙な語り合いは、私にとってJazzの魅力そのものに感じられます。そんな訳で「Explorations」は私には掛け替えのない存在です。
因みに、Riverside時代のEvansに魅せられて、「BILL EVANS /THE COMPLETE RIVERSIDE RECORDINGS」(18枚組LP)を30年ほど前に予約購入しました。シリアルナンバーが入って、豪華なBOXに仕立てられていて、高級感たっぷりのセットです。
しかし、楽曲がレコーディング日付順に収録されていて、自分の聴き馴染んだ曲順での収録でないため、聴いてみると違和感ありありで、結局、購入当初に18枚中2枚くらい聴いただけで、レコードラックの飾りになってます。「BILL EVANS /THE COMPLETE RIVERSIDE RECORDINGS」を聴くことは、もう二度とないかもしれなせん。
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芝浦鉄親父さんはジャズファンなのですね!
私はジャズは詳しくないですが、渋くてカッコイイです♪
ジャケットも味があると思いました(^_−)−☆
by saia (2016-03-10 00:07)
saiaさま、おはようございます。
実は鉄道と同じくらいに音楽好きです。
クラシック、ロック/ポップス、民族音楽、ヒーリングミュージック、イージーリスニングなど、日本の歌以外のあらゆる音楽を聴くのですが、一番好きなのはジャズ(フュージョン)かもしれません。
ジャズは若干、敷居が高い印象がありますが、親しむにつれ、色々な魅力を見せてくれます。
by 芝浦鉄親父 (2016-03-10 08:33)
流行り始めましたね~
by たくや (2016-03-10 11:42)
たくや様、こんにちは。
人がやっているのを見ると、すぐに真似してやってみたくなる性分です。
みなさんの「私を構成する9枚」を読むのは、とても興味深く、楽しいです
by 芝浦鉄親父 (2016-03-10 12:31)
ジャズかぁ、大人の趣味ですよね^^
私の場合はさしずめ「私を構成する9機の飛行機」?(^o^)
by ワンモア (2016-03-10 13:07)
ワンモアさま、こんばんは。
「私を構成する9機」、、、私の場合は飛行機でなく、機関車ですかね。。。
by 芝浦鉄親父 (2016-03-10 19:48)
JAZZは好きなんですが、詳しくなくて。
思いっきりROCKバカだったりします^^;
でも、緊張感があったり心地良かったり。
イイですよねJAZZ。
by DEBDYLAN (2016-03-10 23:23)
DEBDYLANさま、こんばんは。
私が音楽に興味持ち、音楽を聴くきっかけになったのは、ビートルズでした。ビートルズが法的に解散した頃のことです。当時はEPレコードを買うお金にさえ不自由しましたが・・・
それから、20代初めまではRock/Pops、その後、30代初めまではJazz/Fusion、さらにその後は、Classical Musicを主体に聴いてきました。
しかし、30代後半になって、音楽のジャンルを意識しなくなり、日本の歌以外の、あらゆる音楽を楽しむようになりました。今はRock:Jazz:Classical=1:1:1と均等に音楽を聴いている感じです。
但し、音楽と正対するように、真剣勝負的(大袈裟ですが)に聴きたい時は、必ずJazzを選びます。
by 芝浦鉄親父 (2016-03-11 00:49)
The Man with the Hornは私も思い出深いです。
学生時代のバイト先の隣のオーディオショップで聞かせてもらったのが最初だったかな?
復活マイルスの音色はもちろん、若手マーカスのスラップとマイクのロック調ギターも印象的でしたね。
もちろんLPももってますが、ジャケットに連番が刻印されてましたね。
Directionsも素晴らしい内容でしたね、そこも一致します!
by またじ (2016-03-14 06:27)
またじ様、おはようございます。
「The Man With The Horn」、Milesを盛り立てる若手のプレイが印象的ですね。
Bill Evans(SS)、Mike Sternは当時、全くの無名でしたが、"Fat Time"のソロを初めて聴いた時は、そのあまりに気迫あふれる演奏にビックリした記憶があります。
by 芝浦鉄親父 (2016-03-14 09:14)
私は75年の来日を新宿厚生年金会館で聞いているのですが
席がスピーカーの真ん前だったため、その音の洪水に圧倒というか
辟易というか、
演奏始まる前にチューニングしているはずなのに、メンバーが演奏中にどんどんアンプのボリュームが上げていって・・・
そんなか、地底に魂を吹き込むようにかがみこんでペットを吹くマイルスのソロは印象的でしたね。
この後、活動を休止するのでしたか。
再開後、私はある期待を抱いて「The Man With The Horn」を買ったのですが、予想と違ったので、あまり聞いていないですね。
持っているマイルスのレコードなかでは一番聞いていないかも。
あれから年月がたちました。
また、聞き直してみます。
by そらへい (2016-03-15 18:20)
そらへい様、こんばんは。
活動休止の前後で音楽は一変しましたね。
いわゆる電化ジャズ(この言葉まだあるのかな?)以降のマイルスで名盤と言われるのは「In A Silent Way」、「Bitches Brew」、「On The Corner」、「Get Up With It」、それと1975年大阪公演のライブ盤「Agharta」、「Pangaea」あたりですかね。無論、どの作品も素晴らしいです。
ですが・・・、それらの作品と比べても、私にとってはマイルスの1枚は「The Man With The Horn」です。おそらく、ジャズファンで「The Man With The Horn」をマイルスのベストに挙げる方は、皆無かも知れませんが、私はこのアルバムが好きですねぇ・・・ 。
by 芝浦鉄親父 (2016-03-15 20:30)