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いにしえの記憶第2章(その15) [いにしえの記憶]

過ぎ去った日々に徐々に埋もれていく、遠い日のいにしえの記憶

DEL_15_ライブアンダーザスカイ_IMG_2764 - コピー.jpg
写真のTシャツは、1983年、よみうりランドオープンシアターEASTで開催されたライブ・アンダー・ザ・スカイの会場で購入したものです。

先日、大阪で乾燥機から取り出して畳んでいると、肩の部分に数か所小さな穴が開いている気づき、残念ですが、引退させることにしました。

このTシャツから想い起こされる、きわめて個人的な、いにしえの記憶です。

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ライブ・アンダー・ザ・スカイは、1977年夏の田園コロシアムでの開催で始まったJAZZフェスティバルです。毎年、内外のトップアーティストが出演しました。1977年、1979年のV.S.O.P. The Quintetなど、伝説となった演奏も多いです。

1983年のライブ・アンダー・ザ・スカイは冠スポンサーが日本専売公社(現JT)で、「Select LIVE UNDER THE SKY '83」と銘打って、前年に発売された「マイルドセブン・セレクト」の大々的なプロモーションも兼ねていました。
コンパニオンが入場者全員に「マイルドセブン・セレクト」を配布していました。当時の私はヘビースモーカーだったので、煙草が只で貰えたことが、無性に嬉しかったです。まだまだ、喫煙者には寛容な時代でした。

Tシャツには、1983年のライブ・アンダー・ザ・スカイに出演した、アーティスト、グループの名前がプリントされています。WEATHER REPORT、CRUSADERS、CHICK COREA TRIO、SONNY ROLLINS SPECIAL QUARTET、錚々たる名前が見て取れます。

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1983年のライブ・アンダー・ザ・スカイ、猛烈なJAZZファンで、自らもJAZZピアノのレッスンを受けていた、ガールフレンドと一緒にSONNY ROLLINS、CHICK COREA のステージを観に行きました。当時の私は10代の頃に聴いていたROCK/POPSを封印して、ひと月に30タイトル以上のJAZZアルバムを購入する位に、JAZZにのめり込んでいたので、二人は水を得た魚のようにJAZZについて語り合う仲でした。

私はCHICK COREA、MIROSLAV VITOUŠ、ROY HAYNESの "TRIO MUSIC"の演奏がお目当てでしたが、彼女はSONNY ROLLINSの演奏がお目当てでした。
SONNY ROLLINSのテナーは底抜けに明るく、陽気で、彼女はノリノリで楽しんでいましたが、そもそも陽性の音楽があまり肌に合わない私にとって、初めてライブで聴いたSONNY ROLLINSの演奏には、あまり感銘は受けませんでした。
"TRIO MUSIC"のクールで知的、少し理屈っぽい演奏は私にとっては素晴らしいものでしたが、逆に彼女のお気に召すものではなかったようです。

コンサートが終わり、京王線の駅に向かって歩いている間もずーっと、彼女はSONNY ROLLINSの音楽は陽気で楽しい、最高!、大好き!”と喋りつづけていました。このあと、下北沢のバーで一緒にお酒を飲んで、JAZZ談義(?)に花を咲かせました。とても蒸し暑い日だったことを憶えています。

彼女とはJAZZのライブやコンサート、JAZZ喫茶に二人で出向いて音楽に浸ったり、学生時代、共に硬式テニスをやっていたので、二人でテニスを楽しみました。コートの上の彼女は、とてもタフで負けず嫌い、非常に攻撃的でした。

彼女はスレンダーな凛とした佇まいの美人でしたが、何故か一緒に居ても、女性であることを私に意識させることは少なかったです。私が肉感的な女性が好みなのが、その理由だったのかもしれません。彼女は自分の身体に女性らしい豊饒さが不足していることを、とても気にしていて、会話の端々に、そのことが彼女のコンプレックスとなっていることを、私は感じとることができました。

そして、2年以上、音楽とテニスで付き合いがあったのですが、どちらからともなく疎遠となり、早30年以上が経ちました。

彼女には私が「鉄」だとカミングアウトしていたのですが、ライブ・アンダー・ザ・スカイの帰り道、”「SLやまぐち号」に乗りに行こうよ!”と彼女は私に言いました。しかし、「SLやまぐち号」に二人で乗ることはありませんでした。

その後の彼女の消息は知りません。彼女の消息を確かめることもできたのですが、確かめたことはありません。。。

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次にライブ・アンダー・ザ・スカイに行ったのは5年後で、MARLON JORDAN QUINTET、SUN RA ARKESTRA、MILES DAVIS GROUPのステージを観ました。この夜に観たMILES DAVIS GROUPのステージは、私が人生を通じて観た全てのコンサートの中で、ベストのコンサートの1つとして、鮮明に脳裏に焼きついています。

この時、一緒に行ったJAZZには無関心な女性も、やはり肉感的ではありませんでしたが、程なくして私は、この女性と結婚しました。

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数々の伝説、ライブ名盤を残した、ライブ・アンダー・ザ・スカイは、残念ながら1992年が最後の開催となりました。

よみうりランドオープンシアターEASTも、2013年に閉鎖されました。

そして私は、このTシャツを買ってから4年後、音楽=JAZZという、私が持っていた固定観念を捨て去り、日本の歌以外のあらゆるジャンルの音楽に心を開いて、積極的に接するようになりました。

さらに、それから10年後、私は、子供の頃に罹ることが多い高熱が出る感染症で生死の境を彷徨い、それをきっかけにヘビースモーカーからノースモーカーに転じました。

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もしも、パラレルワールドが存在したら・・・・・

パラレルワールドの自分は、ひょっとしたら、別の人生を歩んでいるのかも知れませんね。

34年前に買ったTシャツを前にして、とりとめもなく、パラレルワールドの中の自分に思いをはせた次第でした。


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コメント 14

たくや

田園コロシアムで大雨の日に行きましたよ。
by たくや (2017-07-06 10:05) 

芝浦鉄親父

たくや様、こんにちは。
羨ましいです!
豪雨のなか、神が降臨した、V.S.O.P. The Quintet の伝説のライブ、立ち会いたかったです。。。
by 芝浦鉄親父 (2017-07-06 12:31) 

Lonesome社っ長ょぉ〜

'83は所属していた会社が運営に関わっていたので、部署違いなのに
応援で借り出された懐かしい思い出のイベントです。
by Lonesome社っ長ょぉ〜 (2017-07-06 21:40) 

芝浦鉄親父

Lonesome社っ長ょぉ〜様、こんばんは。
そーでしたか。。。
多摩丘陵の自然の地形を活かした野外会場で開催されるライブ・アンダー・ザ・スカイは、爽快で解放感は格別なものでした。
こんなイベントが身近で開催されていたこの時代、佳き時代でした。
by 芝浦鉄親父 (2017-07-06 22:52) 

saia

今回はまるで村上春樹さんの小説を読んでいるようで、感動しました!
最後に奥さまとの思い出のお話、ニッコリしてしまいました♪♪
運命の女性はやっぱり奥さまだったのですね(#^^#)♡

by saia (2017-07-07 18:28) 

うめむす

しみじみとした、えーお話聞かせて頂きました。
つられて、私も今、遠い目になっておりました(笑)
by うめむす (2017-07-08 01:45) 

芝浦鉄親父

saiaさま、こんにちは(そちらは、夜でしょうか?)
拙い記事に感動していただき、恐縮です。。。
運命の女性か、運命が尽きたのか、どちらか判断しがたいですが、29年目となりました。
29年間、色々なことがありましたが、振り返ると、とても短く感じますね。。。
by 芝浦鉄親父 (2017-07-08 17:48) 

芝浦鉄親父

うめむす様、こんにちは。
えーお話、とコメントいただき、恐縮に存じます。
自分が観たコンサートや自分が手にしたレコードの記憶を通じて、昔のことを想い起すことが多いです。
素晴らしい演奏に出会った時の記憶は、心に残り続けますね。。。
by 芝浦鉄親父 (2017-07-08 18:01) 

そらへい

jazz&ライブ・アンダー・ザ・スカイにまつわる
素敵な思い出ですね。
過去を振り返って、人生の分岐点がいくつかあることに気づきます。あの時、あっちに行っていたらと考えることはありますね。
思っても仕方がないことですが。
ライブ・アンダー・ザ・スカイは70年代後半、FMか何かで聞いたことがあるような気がしますが、リアルには体験していません。
80年代に入ると、帰省、結婚その他でjazz&音楽から遠ざかりつつありました。

by そらへい (2017-07-09 22:06) 

ようこくん

「if」を思うことはありますが、違う道を歩んでいるとどうなのでしょうね。
芝浦鉄親父さんの物語に自分の青春を重ねて読まれた方は
多いと思います。

by ようこくん (2017-07-09 23:27) 

芝浦鉄親父

そらへい様、こんにちは。
「あの時にこうしていたら・・・・・」、歳を取ると、そんなことを考えることが、多くなるのかもしれませんね。。。
70年代から80年代はJAZZが世間的にも脚光を浴びていて、テレビCMにもMilesが出てきたり、Keith Jarrettの音楽が流れたりしました。そんな時代が懐かしいです。
by 芝浦鉄親父 (2017-07-10 11:37) 

芝浦鉄親父

ようこくん様、こんにちは。
人生の分岐点、、、その時には分岐点とは気づかずに通り過ぎても、あとになって、あれが分岐点だったんだと気づくこともありますね。
まあ、いろいろな分岐点を通過することで、大人になっていくのかもしれませんね。。。
by 芝浦鉄親父 (2017-07-10 11:58) 

Cedar

80年頃はJAZZフェスが夏の鉄板でしたね。私もいくつか仕事がらみで思い出あります。今存亡の危機にある某大手電機メーカーの冠JAZZフェスの仕事なんかやってました。
by Cedar (2017-07-12 14:29) 

芝浦鉄親父

Cedarさま、こんばんは。
鉄道ファンにもお馴染み(?)の、今や瀕死状態の某大手電機メーカーのオー〇ッ〇ス・JAZZフェスティバル、懐かしいです!
1981年のHUBERT LAWS & ELOISE LAWSのステージの模様が、オー〇ッ〇スのテレビCMで流れていたのを、今でも思い出します。
私は会場に足を運んだことは、残念ながらありませんでしたが、1980年のBENNY GOODMAN、1982年のJACO PASTORIUSのライブ盤など、伝説となった演奏を今でも聴くことができるのは、嬉しい限りです。。。
by 芝浦鉄親父 (2017-07-12 20:01) 

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