私を構成する9枚(パート3) [音楽]
①→③
④→⑥
⑦→⑨
今回はパート3として、⑦から⑨を紹介します。
⑦Standards Vol. 1/Keith Jarrett(1983)
ピアノ・トリオで最も好きなアルバムです。
このアルバムを聴くまで私にとって至上のピアノ・トリオはBill Evans, Scott LaFaro, Paul Motian、それに次ぐ存在がChick Corea, Miroslav Vitouš, Roy Haynesでした。
Keith Jarrettは、このアルバムを聴くまでは、ほぼ全くの食わず嫌いで、ソロ作品すら聴いたことがなかったです。
食わず嫌いになった理由は、私が初めて買ったKeith Jarrettのアルバム「Death and the Flower」(1975)でした。「Death and the Flower」は名盤の誉れ高い作品ですが、聴いてみると私の嗜好には全く合うものではなく、それが厭な記憶として脳裏に摺り込まれたからです。
初めて「Standards Vol. 1」を聴いたのは、吉祥寺にあったJazz喫茶「A&F」でした。JBLの大型のバックロードホーン・スピーカーから演奏が流れると、思わず引き込まれるように聴き入ったことを思い出します。
それまで、私にとっては至上だったBill Evans, Scott LaFaro, Paul Motianの演奏と対比すると、Keith Jarrett, Gary Peacock, Jack DeJohnetteの近代的でスピード感のある、3人の歌心溢れる饒舌な語り口の演奏はとても新鮮に映り、一瞬で魅せられてしまいました。
Keith Jarrettがボーカル(?)までをも披露するこのアルバム、ECMレーベルのお家芸と言える美しいサウンドに適度なブーミーさが加わったレコーディングも秀逸で、この作品の演奏を引き立てています。
「Standards Vol. 1」はKeith Jarrettを食わず嫌いしていた呪縛から解かれ、ソロなど、Keithの様々な作品を聴くきっかけとなった1枚です。
⑧Friday Night in San Francisco/Al Di Meola: John McLaughlin: Paco de Lucía(1981)
Jazz/Fusionファンのみならず、ギターフリークも絶賛する超有名な名盤です。そして、私の人生を通して、最も聴いた回数が多いアルバムの中の1枚になります。
このアルバムが発表されたとき、スイングジャーナル誌では酷評されました。当時のJazz評論界の重鎮YS氏は、「単なるギターの曲弾き、速弾き大会で、音楽性、芸術性の微塵もない」みたいな、評論を書いていました。
しかし、単なるギターの速弾き大会だったら、リリースから35年間、多くの音楽ファンに聴き継がれる訳もなく、このアルバムの素晴らしさは、このアルバムを支持する絶大な数のファンが証明していると思います。
このアルバム、何と言っても聴きどころは1曲目、"Mediterranean Sundance / Río Ancho"のAl Di MeolaとPaco de Lucíaのデュオです。
Al Di MeolaとPaco de Lucíaの2本のアコースティックギターによるインタープレイは、聴衆と一体となって、どんどんヒートアップしていきますが、歌心を失わないのはさすが!、Fusion、Flamencoの当代随一のギタリスト所以といえる素晴らしい演奏です。
何遍聴いても大きな感動を味わえる、決して色褪せることのない、名演です。
私の独身時代、戸建ての家で親と同居していたころは、自室に設置した至近距離のJBLモニターを、アンプのボリューム午後3時位の爆音で鳴らして、このアルバムを聴いていました(無論、スピーカーの能率、アンプの出力、入力系のゲインで得られる音圧は変わりますが)。"Mediterranean Sundance / Río Ancho"を聴くと、演奏のあまりの熱さに、聴いてる私の気分も高揚していき、ボリュームつまみを右へ右へと廻してしまったものです。
今はマンション住まいなので、そこまでの音量は自重していますが、35年間いつ聴いても「すごい!」と思わせられる名盤です。
⑨Castro Marín/Paco de Lucía(1981)
アルバム全篇、Paco de Lucía、アコースティックギターの魅力が大いに堪能できる名盤です。
1980年にスーパーギタートリオとしてPaco de Lucía: Larry Coryell: John McLaughlinが来日した際に、日本で録音されたアルバムです。
Paco de Lucíaのソロに加えて、Paco de Lucía: Larry Coryellのデュオが1曲、Paco de Lucía: Larry Coryell: John McLaughlinのトリオが1曲収録されています。
初めてこの作品を聴いたのは、アルバム発売直後にJazz評論家:本田俊夫さんがDJを務めるFM番組でした。 かかった曲は、Paco de Lucía: Larry Coryell: John McLaughlinのトリオによる"Palenque"でした。
3人のアコースティックギターによるインタープレイは、まさに闘鶏("Palenque")を思わせるほど激しく、魂の叫びのように聴こえ、一遍で魅了されてしまいました。また、3人のギタリストの個性が際立つところも、この曲の魅力の1つです。
すぐさま、レコード店に向かい「Castro Marín」を購入しました(当時はアナログLP)。さらに、その1ヶ月あとに、もう1枚LPを購入しています。続けて2枚のLPを購入した理由は、あまりにこのアルバムを気に入ったため、擦り減るくらい聴くことを想定してのことでした。因みに、その後CDも購入したこともあり、2枚目は購入してから35年間、一度も再生したことがないです。
Jazzファンにとっての最大の聴きどころは、トリオによる"Palenque"となると思いますが、デュオ、Paco de Lucíaのソロの演奏も全く文句なしです。
このアルバムは録音も素晴らしく、スタジオの静寂や空間、空気感までが感じられる秀逸な録音です。静寂の中に浮かび上がる、Paco de Lucíaの情念すら感じられるエモーショナルな演奏は素晴らしいの一言に尽きます。
私にとって「Castro Marín」は「Friday Night in San Francisco」と双璧をなす、アコースティックギターのお気に入りの作品です。
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わーーーい! キース・ジャレット、私も大好きです!
とっても素敵なピアノ演奏で魅了されます♪(*´▽`*)
以前CDも持っていました(タイトルは忘れてしまいましたが)。
芝浦鉄親父さんの記事を読んで、久しぶりに聴いてみたくなって今YouTubeで「ザ・ケルン・コンサート」を聴きながらこれを書いています!
by saia (2016-04-02 21:43)
saiaさま、こんばんは。
ザ・ケルン・コンサート、素晴らしいレコードですね。文句なしの名演、名盤です!
キース・ジャレットのソロ作品は数多くあれど、音楽の持つ美しさや神秘性に満ちた、最高の1枚です。
ザ・ケルン・コンサートも私の長年の愛聴盤です。
by 芝浦鉄親父 (2016-04-02 22:06)
キース・ジャレット…ケルンコンサートは凡そピアノソロとは思えぬ分厚い旋律に魅了されましたが、私としては「マイソング」が最も聴き込んだ一枚です。
by NO14Ruggerman (2016-04-02 23:15)
NO14Ruggermanさま、こんばんは。
キース・ジャレットのECMの諸作、どれも素晴らしいですね!
実は1枚を選ぶのに大いに悩んだ次第です。
by 芝浦鉄親父 (2016-04-03 00:09)
若い頃、買ったキースのアルバムは、「フェーシング・ユー」「生と死の幻想」「ケルン・コンサート」でしたが、その中で「生と死の幻想」は確かに違和感がありましたね。他の二枚に比べて、ターンテーブルに載せることが極端に少なかったです。
by そらへい (2016-04-10 21:08)
そらへい様、こんばんは。
私が所持しているLP、CDのなかで、1回、2回聴いただけで、2度と聴くことがない作品がたくさんあります。
「生と死の幻想」も、今、聴くと異なる印象を受けるかもしれませんが、おそらく聴くことはないと思います・・・。
by 芝浦鉄親父 (2016-04-10 21:40)